コンクリートメンテナンス協会(JCMA・徳納剛会長)は、一般社団法人として発足した2011年度から毎年、全国の主要都市で「コンクリート構造物の補修・補強に関するフォーラム」を開催してきた。同フォーラムは、徳納会長を中心に、わが国のインフラ構造物が置かれた状況に危機感を高めた技術者、学識者らの有志が試行錯誤しながら始めた啓蒙活動であり、テキストは手作り(毎年改訂)、参加費は無料。3年目の13年度には会場が全国28ヵ所に増加、参加者も2000人を超える規模に成長し、その後も規模は拡大していった。20、21年度はコロナ禍のためオンライン開催となったが、19年度までのリアル会場では延べ36000人の参加者を集め、20年度のフォーラム動画視聴数は32700件に上ったという。コンクリート構造物の維持・補修に関する認識が希薄で必要な知識が共有されていなかった当初から、コンクリート技術者と発注者や地域社会との橋渡しとなってきた同フォーラムの意義はきわめて大きい。本特集では同フォーラムの10周年を記念し、徳納会長をはじめフォーラムと関わりの深い各氏にご寄稿をいただいた。