2017年6月22日 「平和の灯」ボランティア補修 中建日報
コンクリート診断士会とメンテナンス協会
「平和の灯」をボランティア補修
「適切な補修で長持ち」広めたい
広島県コンクリート診断士会(米倉亜州夫会長)と(一社)コンクリートメンテナンス協会(徳納剛会長)とが共同で実施する平和記念公園「平和の灯」のボランティア補修工事が19日から始まった。昨年5月の健全度調査、今年1月の高圧洗浄・補修試験の結果をもとに鉄筋防錆処理やひび割れ補修などを施し、7月3日まで延べ6日間作業する。
「平和の灯」は、平和記念公園内にあるRC造のモニュメント。手のひらを大空に広げた形で平和への祈りを表現しており、設計を丹下健三氏、施工は大林組が担当。昭和39年に建立された。
多くの観光客の目に触れる場所にあるが、過去に本格的な補修は行われてこなかったためカビやコケで表面が黒く変色。加えて、ひび割れやコンクリートの剥離も点在していたことから、状況を見かねた同会らがボランティアによる健全度調査を広島市に進言。その後、長寿命化計画の提案や補修工法選定のための試験なども行っていた。
作業初日となった19日は会員ら約30人が参加し、モニュメント表面の汚れを高圧水で洗浄したほか、ハンマーによる打音検査で補修箇所を確認した。2日目以降は鉄筋腐食箇所のはつり出しや防錆処理、ひび割れ等の充填補修、コンクリート強化材・保護材料の塗布や仕上げ調整などを行っていくとしており、亜硝酸リチウム(鉄筋防錆)、シラン系表面含浸材(水分等からの保護)、酸化チタンコーティング(光触媒による汚れ防止)など最新の補修材料も活用し、会員の技術向上にも繋げる。
活動を主導した診断士会の鈴木智郎副会長(復建調査設計)によれば、昨年から続く一連の活動は今回で一段落するが、広島市には5年に1度のメンテナンスを提案しており、今後も要請があれば出来る限り協力する考えという。
米倉会長(米倉社会インフラ技術研究所)は「コンクリートは汚れや劣化が起きやすいと思われているかもしれないが、そうではない。適切な施工、補修をすれば非常に長持ちするということを広めたい」と話していた。